8.07.2011

【JASC日記】8月7日

こんにちは、広島人な小池あずさです。
京都滋賀は想像を絶するほど暑く、
この日もうだるような蒸し暑さの中、
私たちは滋賀県琵琶湖を訪れました。

琵琶湖では貸し切りのおしゃれなボートに乗り、
クルーズ気分で琵琶湖の美しい水と、
琵琶湖を囲む山々の風景、気持ちのいい風を楽しみました。

ボートでは、琵琶湖の汚染や生物多様性二関する問題、
また琵琶湖周辺の土地ではどのように水が尊敬され、
大切にされているのかという
文化的な側面についての講義を頂きました。

今回実際にボートで入ってはじめて、琵琶湖は、
湖の中に入らないとその美しさを
完全に知ることはできないと心から感じました。

湖の美しさはさることながら、琵琶湖の持つ意味・偉大さは、
それがどのように琵琶湖周辺に住む人々の生活を支え、
そして時にその生活の様を鏡のように反映する点にあると思います。

それを強く実感させたのは、
琵琶湖の中心にある小さな小さな『沖島』への訪問でした。
この沖島で人々は、古くからの生活様式を受け継ぎ、
漁業を中心に生活を立てています。
「千と千尋の神隠し」の世界を
思い起こさせるようなレトロな集落。
元気に動き回っている小さなおじいさんおばあさん。
深い森と湖の間に立ち並ぶ瓦屋根の家々。

故郷とは全く違うのに、
なぜかそこに立っているだけで
「懐かしさ」を感じる不思議な場所でした。

「古くからの生活様式」を受け継いでいる沖島ですが、
現在、その変化に直面しています。
驚いたのは、島に全く若者がいないこと、
また、この度体験させていただいた網漁で
捕れた魚の少なさと外来魚の多さ。
このような問題は琵琶湖周辺地域を中心とした
人々の生活様式の変化による水質汚染の問題と重なって、
深刻な問題であると思います。

自然とバランスし共存していた時代、
人々はもっと沢山魚をとり、
もっと沢山の魚が存在したはずなのに、
生活を便利にするはずのグローバル化や
工業化によって逆に生活が脅かされています。
このようなことは、どこでも掃いて捨てるほど言われていて、
わかったような気持ちになっていたけれど今回琵琶湖に来て、
初めて実感として心に衝撃を与えるものになりました。

琵琶湖は人々がどのような生活をし、
どのように自分たちの生の源である
自然を扱うかの『鏡』であると思います。
周辺一帯の山から川へ、そして琵琶湖に注ぎ込む過程で
そこに住む人間はこの水に深く関わり影響するため、
湖の水は人々の生活を反映するといえるからです。

そして、この水は人間を支配します。
水が汚ければ多くの問題を引き起こすし、
生物多様性の消失は人間に致命的なダメージを与えます。
昔の日本人はそのことをよく知っていたのに、
グローバリゼーションやテクノロジーの発展により
人間はこのことを忘れてしまって自分たちが
自然を支配している気になるけれど、
自分たちがどのように生きるかは自分たちに
結果として帰ってくる、そして現在帰ってきているのです。

だからこそ琵琶湖はその事実を証明する「鏡」となりうると考えました。

そしてこの鏡は、
地球全体の縮図なのだろうなと心の底から感じます。

沖島からの帰りのボートで、
とても素敵な由笛の演奏を聴かせていただきましたが、
古くからの自然を想い尊敬し作曲された日本の曲を聞き、
どれだけ昔の日本の人々が自然を尊敬し
自然とバランスをとる努力を重ねることによって
自分たちの生活を守ってきたかを実感し、
我々がこのような文化を再び取り戻し
世界に広める必要性を感じるとともに、
アンコールのときに演奏された「もののけ姫」のテーマ曲を
聴き映画のメッセージを考えながら、
私たちが自然に支配されていることを
忘れたときの結果が「もののけ姫」の中で
まざまざと描かれているのだと感じました。

こうして、8月7日はとても生産的で
学びの多い日となりました。
この日やった全てのことを実現することは
大変だったとは思います、サポートくださったみなさんに
心からお礼をしたいと思います。


小池あずさ

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